子どももおいしく飲める、お茶の入れ方

今年も大井川南小わくわくチャレンジ!南キッズ☆「わくわくお茶の部屋」でお話できる機会をいただきました。小学1年生21名です

・コロナ感染症対策をしっかりと
今までは3人一組、ひとつのテーブルに2組が向かい合って座りました。今回はコロナ感染症対策のため、ひとつのテーブルにふたりずつ、ひとグループ4人に急遽変更となりました。全員が前を向いて座ります。

児童同士が急須を渡す時も、手に消毒をすることを決めました。やれることは徹底してやり、児童のための活動は続ける姿勢。学校関係者のご理解もあって実施できます。

子どもにとって、おいしいお茶になる茶葉の量とお湯の温度

最初の頃は、3人分で5gの一煎袋を用意しました。おとなだと通常1人で3g、2人で5gでしょうか。

湯冷ましは、ポットから人数分の湯呑に湯を注ぎ、30秒待ってから湯飲みの湯を茶葉の入った急須に入れる。おとなだと30秒待たずにすぐ急須に入れます。

何回かやっているうちに気づいたことがあります。それは児童にとっては、お茶が濃すぎること飲むのに熱すぎることです。実際、飲み終えた後の感想を聞いてみると、「苦かった」「熱くて飲みにくい」の声もありました。子どもだから仕方ないんだなんて、思ってしまったことも。

でもこれではいけません。お茶飲んだ児童全員が「おいしい!」と言ってもらえる「お茶の入れ方」を伝えなければ。茶葉で入れるお茶のおいしさ、知ってもらいたい。

そのためにはまず茶葉の量です。いままで3人で5gだったのですが、あるときから思い切って3人で3gにかえました。

茶葉はいつも深蒸し茶を使っています。農家さんが茶葉を収穫して最初に行う工程が蒸し作業です。茶葉を蒸気で蒸して柔らかくします。蒸気で蒸す時間が長いから深蒸し茶といいます。深蒸し茶は形状が細かく、味が濃く出やすいお茶です。おとなにとってはそこが旨さにつながりますが、子どもにとっては量が多いと、苦い、渋いになってしまいます。

今回急きょ3人グループから4人グループになったので、4人で3g。ちょっと少なかったかなと思いましたが、結果としてはOKでした。

次に湯の温度です。通常湯冷ましは、ポットから人数分の湯呑に湯を注ぎすぐに、茶葉の入った急須に注ぎます。1回違う容器に注ぐことで8~10℃温度が下がるといわれています。これで80℃ぐらいになります。

でもこの温度、児童にとってはとても高い温度でした。熱いものが苦手という子どもが増えているのかなとも感じでいます。朝のご飯と熱い味噌汁の替わりに、パンと冷たいミルクとか。実際私の長男は猫舌です。ラーメンもつけ麺があれば選ぶほどです。

ポットから人数分の湯呑に湯を注いぎます。急須に入れるまでの待ち時間、30秒ではなく60秒に伸ばしました。これで温度はぐっと下がります。

このことは児童にとって、飲みやすい温度になるということとともに、お茶の味にもいい変化が生まれます。お茶に含まれるカテキン・苦渋味成分は80℃以上の湯温で溶出しやすくなっています。旨味・甘味成分のアミノ酸は水に溶けやすく低温でも摂ることができます。苦味成分のカフェインは高温だと簡単に抽出します。児童にとって温度が低い方が、苦味が少なく、甘みを感じるお茶になるわけです。

そして急須にお湯を入れて待っている時間です。通常深蒸し茶は30秒ぐらい、普通蒸し煎茶(蒸す時間が深蒸し茶より短い)は60秒といわれています。でもこれだと、前に書いた深蒸し茶の特徴から児童っては濃すぎるお茶になってしまいます。私は今回15秒だけ待ってもらいました。

ここからは、次廻しです。なぜ次廻しをやるのか、しっかり説明することがポイント。

・お茶の量もどれも同じになる。「最初の湯呑にいっぱい入れて、次に注いでいったら、最後の湯呑、お茶が少なくなっちゃったなんてこと、あるよね」
・お茶の濃さがどれも同じになる。「お茶ってはじめは薄く出て、最後に濃くなります。同じ濃さで入れるには、順番に廻して入れるといいですよ。イチ、ニー、サン、シーそしてシー、サン、ニー、イチっていうように」

急須のふたが落ちないように手を添えることもはなしました。

お茶のおいしい入れ方実践してもらったら、次はいろんなお茶を飲んでもらいます。いつも飲んでいる緑の煎茶以外にもお茶っていろいろあること、知ってもらいたくて。そして紅茶、ウーロン茶も煎茶と同じお茶の樹からできていること、違いはつくり方ということを知ってもらいたくて。

今回、ビックリすることありました。フィルターインボトルに入ったお茶を児童に注ぎに行っているときです。男の子が話しかけてきました。

「おちゃをのむときには、さいしょおじぎするんだよね。そのあとこうして、てをあげてのむんだ。おわったらありがとうの、おれいをするんだよ。」かわいい小学一年生から、こんなすごいこと聞けるなんて、驚きました。後で考えたら、きっとご家族の方が、茶道をしていてその所作を覚えていたんだと思いました。

お茶への感謝、私も忘れていた想いかもしれません。児童に教えているつもりが、教わることいっぱい。これからもお茶をとおしての繋がり、深めていきたいです。ありがとうございます。

※関係者のご了解をいただき、撮影、投稿しました。