かぶせ茶とは?茶畑を覆う栽培と煎茶・玉露との違い

茶畑の一部を遮光資材で覆う、かぶせ茶の被覆栽培の説明用イメージ

かぶせ茶とは、摘み取る前の一定期間、茶畑を遮光資材で覆って育てた茶葉を、煎茶と同じように蒸して揉み、乾燥させた日本茶です。「かぶせる」という栽培方法が名前の由来で、特定の品種名や産地名ではありません。

この記事では、公的機関などの資料をもとに、かぶせ茶の意味と、煎茶・玉露・碾茶(てんちゃ)との違いを整理します。

かぶせ茶は、摘採前に茶畑を覆って育てるお茶

公益社団法人日本茶業中央会の表示基準では、かぶせ茶は「摘採前おおむね7日間」、わらや寒冷紗などで茶園を覆い、その生葉を煎茶と同様に製造したものとされています。農林水産省の説明でも、摘み取り前の1週間程度、茶園を覆うお茶として紹介されています。

つまり、かぶせ茶を見分ける中心は「仕上がった葉の形」だけではなく、摘採前に茶畑を覆ったかどうかです。

ただし、覆う日数や資材、遮光の程度は、産地や生産者、商品によって異なります。「必ず7日間」と固定して考えるのではなく、一般的な定義の目安として捉えると分かりやすいでしょう。

煎茶・かぶせ茶・玉露・碾茶は、覆い方と加工を分けて見る

名前が似ていたり、いずれも緑色の茶葉だったりするため迷いやすいところです。公的資料で示される一般的な違いを、栽培と製造の2点で整理します。

茶の種類 摘採前の覆い 摘採後の主な製造
煎茶 基本的に覆わない 蒸す・揉む・乾燥する
かぶせ茶 おおむね7日〜1週間程度 煎茶と同様に蒸す・揉む・乾燥する
玉露 おおむね20日程度覆う 蒸す・揉む・乾燥する
碾茶 おおむね2〜3週間程度覆う 蒸した後、揉まずに乾燥する

碾茶を細かくひいたものが抹茶です。かぶせ茶も茶畑を覆って作りますが、碾茶とは摘採後の加工が異なります。粉茶・粉末茶・抹茶の違いは、粉茶・粉末茶・抹茶の違いを整理した記事でも確認できます。

表の日数は、農林水産省や日本茶業中央会が示す一般的な目安です。実際の商品では栽培条件が異なる場合があるため、個別の商品説明を優先してください。

覆うことで、渋味や苦味が抑えられやすい

茶畑を覆って日光を抑えると、一般に、渋味や苦味が抑えられ、うま味や甘味を感じやすいお茶になりやすいとされています。葉の緑色も濃くなりやすい傾向があります。

ただし、味わいは覆い方だけで決まるものではありません。品種、産地、摘採時期、製造、保管、いれ方でも変わります。「かぶせ茶だから必ず甘い」と断定せず、商品ごとの説明や推奨のいれ方を確認するのが確実です。

茶名は、品種名や産地名と分けて確認する

「かぶせ茶」は、被覆して育てた茶葉を煎茶と同様に製造する茶種の名前です。そのため、同じ「かぶせ茶」でも、使われる品種や産地は一つではありません。

商品を選ぶときは、次の項目を分けて見ると混同を防げます。

  • 茶の種類:かぶせ茶、煎茶、玉露など
  • 原料原産地:茶葉が生産された地域
  • 品種:やぶきた、さえみどりなど(表示されている場合)
  • いれ方:湯温、茶葉量、抽出時間などの商品別案内

表示の読み方を詳しく知りたい方は、日本茶の商品名・原材料名・原料原産地の見方も参考にしてください。

山一園製茶の過去記事にある「トンネル被覆」は一つの具体例

山一園製茶では、2013年の新茶時期に、茶畑を黒い資材で覆う「トンネル被覆」の様子を紹介しています。茶畑を覆った当時の記録を見ると、被覆栽培の作業イメージを具体的に確認できます。

これは当時の特定の茶畑と新茶づくりを紹介した記事です。すべてのかぶせ茶や現在の商品が、同じ資材・期間・方法で作られていることを示すものではありません。

まとめ

かぶせ茶は、摘採前の茶畑をおおむね1週間程度覆い、その生葉を煎茶と同様に製造する日本茶です。煎茶との主な違いは摘採前の被覆、玉露とは一般的な被覆期間や方法、碾茶とは摘採後の加工にあります。

商品による違いもあるため、購入時は「かぶせ茶」という茶名だけでなく、原料原産地や品種、商品ごとのいれ方も合わせて確認しましょう。確認項目は、日本茶の商品名・原材料名・原料原産地の見方で詳しく紹介しています。

参考資料