釜炒り茶とほうじ茶の違い|何を、どの段階で炒る?

生葉への初期加熱と製茶後の焙じを対比した釜炒り茶とほうじ茶の説明用イメージ

釜炒り茶とほうじ茶は、どちらも熱を使って作られますが、同じお茶ではありません。大きな違いは「何に」「いつ」熱を加えるかです。

釜炒り茶は、摘み取った生葉を最初に釜で加熱し、酸化酵素の働きを止めて作る緑茶です。一方、ほうじ茶は、番茶や煎茶など、すでに製茶された茶葉を焙じて作ります。名前に共通する「炒る」「焙じる」だけで判断せず、製造工程の位置を見ると違いが分かります。

釜炒り茶は、生葉を最初に釜で加熱する

緑茶は、摘み取った生葉を早い段階で加熱し、酸化酵素の働きを止めます。日本茶では蒸気で蒸す方法が広く使われていますが、釜炒り茶は蒸す代わりに、熱した釜で生葉を炒るのが特徴です。

工程を単純化すると、次の流れです。

  1. 茶の生葉を摘み取る
  2. 生葉を釜で炒り、酸化酵素の働きを止める
  3. 揉みと乾燥などの工程で仕上げる

農林水産省は、釜炒り茶を蒸さずに釜で炒って作るお茶として紹介し、主に九州地方で作られていると説明しています。東京都茶協同組合も、一般的な煎茶が最初に蒸すのに対し、釜炒り茶は最初に釜で炒るという製法の違いを示しています。

ほうじ茶は、製茶後の茶葉を焙じる

ほうじ茶は、茶の生葉をそのまま焙じて完成させるお茶ではありません。番茶や煎茶など、いったん製茶された茶葉を高温で焙じ、香ばしい香りを引き出したものです。

工程を単純化すると、次の流れです。

  1. 生葉を蒸すなどして緑茶に製茶する
  2. できあがった茶葉を焙じる
  3. 焙煎した茶葉をほうじ茶として仕上げる

農林水産省は、番茶や煎茶を焙煎して作るものをほうじ茶として紹介しています。原料となる茶の種類や焙煎条件は商品によって異なるため、「ほうじ茶」という名前だけで原料や味を一つに決めつけないことも大切です。

違いは「最初の加熱」と「仕上げの焙煎」

比べる点 釜炒り茶 ほうじ茶
熱を加えるもの 摘み取った生葉 すでに製茶された茶葉
主なタイミング 製茶の最初 製茶後の焙煎工程
主な目的 酸化酵素の働きを止め、緑茶にする 香ばしい焙煎香を引き出す
名前から分かること 初期加熱の方法 焙煎した茶であること

つまり、釜炒り茶の「炒る」は緑茶を作り始める工程、ほうじ茶の「焙じる」はできあがった茶葉に加える後工程です。どちらも乾いた熱を使いますが、工程上の役割が異なります。

「釜炒り茶を焙じたらどうなる?」は工程を重ねて考える

釜炒り茶とほうじ茶は、必ずどちらか一方にだけ分類される言葉とは限りません。「釜炒り茶」は初期加熱の方法、「ほうじ茶」は製茶後に焙煎したことを表すため、釜炒り茶を原料として後から焙じる、という工程上の組み合わせも考えられます。

ただし、実際の商品名や原料表示は商品ごとに異なります。購入時は、名称だけでなく、原材料名や製法の説明を確認してください。

棒ほうじ茶は、原料部位と焙煎を分けて見る

「棒ほうじ茶」という表示では、「棒」は茎の部分を多く使うこと、「ほうじ茶」は焙煎したことを表します。釜炒り茶との違いを考えるときと同じように、原料と工程を分けて読むと整理しやすくなります。

棒茶とほうじ茶の関係は、棒茶とほうじ茶の違いを知りたい方はこちらで詳しく紹介しています。

商品を見るときは、原料と加熱工程を確認する

釜炒り茶とほうじ茶を見分けたいときは、商品説明で次の点を確認しましょう。

  • 生葉を蒸したか、釜で炒ったか
  • 製茶後に焙煎しているか
  • 原料に番茶、煎茶、茎など何を使っているか
  • 産地や品種など、製法とは別の情報は何か

日本茶には、製法、原料部位、産地など、異なる基準で付けられた名前があります。全体像は世界のお茶と日本茶の種類を整理した記事も参考にしてください。

まとめ

釜炒り茶は、摘み取った生葉を最初に釜で加熱して作る緑茶です。ほうじ茶は、番茶や煎茶など、すでに製茶された茶葉を後から焙じて作ります。

違いを見分けるポイントは、「生葉への最初の加熱」か「製茶後の焙煎」かです。商品を選ぶときは、名前だけでなく、原料と製法の説明を分けて確認すると迷いにくくなります。

参考資料