棒茶の歴史と地域ごとの特徴|静岡と加賀の違い

急須と、静岡の棒茶・加賀棒茶をイメージした三つの湯呑み

棒茶は、煎茶などの仕上げ工程で選り分けられた茎や葉柄(ようへい)を使うお茶です。ただし、同じ「棒茶」という名前でも、茎の持ち味を生かした緑茶タイプと、茎を焙じたほうじ茶タイプがあります。静岡の山一園製茶の棒茶と、石川県で親しまれてきた加賀棒茶を比べると、この違いが分かりやすくなります。

この記事では、棒茶の成り立ちと地域ごとの特徴を、農林水産省、日本茶業中央会、各社の公式情報をもとに整理します。個別の商品を選びたい方は、記事後半の選び方ガイドへ進んでください。

棒茶とは、仕上げ工程で選別された茎を使うお茶

棒茶は「茎を使うお茶」であり、焙煎の有無までを表す言葉ではありません。

日本茶業中央会の「緑茶の表示基準」では、茎茶または棒茶を、荒茶の仕上げ工程で選別された茶の茎や葉柄などと定義しています。農林水産省の案内でも、茎茶は玉露や煎茶の仕上げ加工工程で新芽の茎を選別したお茶と説明されています。

そのため、茎を焙じていない緑茶タイプも、茎を焙じたほうじ茶タイプもあります。「棒茶=すべてほうじ茶」ではありません。

棒茶は、茶の茎を生かす工夫から広がった

棒茶は、煎茶や玉露を仕上げる際に分けられる茎を、お茶として生かしたものです。

現在は、茎ならではの香りや甘みを楽しむ一つの茶種として扱われています。農林水産省は、茎茶について「独特のさわやかな香りと甘み」が特徴と紹介しています。

ただし、茎をどのように仕上げるかは地域や商品によって異なります。地域名だけで味を決めつけず、焙煎の有無や各商品の説明を確認することが大切です。

静岡の山一園製茶では、緑茶タイプの棒茶をつくる

山一園製茶の特選棒茶は、茎を焙じてほうじ茶にする商品ではなく、緑茶として仕上げる棒茶です。

山一園製茶では、新茶時期に仕入れた棒茶原料のうち、早く仕入れたものから特選棒茶をつくっています。その味わいは、若葉のような爽やかな香り、コクのある旨味、すっきりした後味です。

これは静岡県内すべての棒茶に共通する説明ではなく、山一園製茶の特選棒茶についての説明です。商品ごとの違いを比べるときは、産地名だけでなく、焙煎の有無と販売元の案内を確認してください。

加賀棒茶は、茎を焙じる文化として親しまれてきた

農林水産省は、加賀棒茶を茶の木の茎を焙煎してつくるお茶と紹介しています。石川県で日常のお茶として親しまれ、明治期に商品として広がった歴史があります。

加賀棒茶の代表的な商品である丸八製茶場の「献上加賀棒茶」は、良質な茎を浅く焙煎したほうじ茶です。同社公式情報では、1983年に昭和天皇の石川県訪問に合わせて開発され、翌年に商品化されたと説明されています。

公式商品ページでは、芳ばしい香りと澄みきった味わい、琥珀色の水色が特徴として案内されています。「加賀棒茶」という地域のお茶の歴史と、「献上加賀棒茶」という個別商品の由来は分けて理解すると混同しにくくなります。

静岡と加賀の違いは、産地だけでなく仕上げ方を見る

結論として、山一園製茶の棒茶は緑茶タイプ、加賀棒茶は茎を焙じたほうじ茶タイプとして比べると違いが見えます。

比べる点 山一園製茶の特選棒茶 加賀棒茶・献上加賀棒茶
茶の種類 緑茶タイプの棒茶 茎を焙じたほうじ茶タイプ
仕上げ 茎の爽やかさと旨味を生かす 焙煎によって芳ばしさを引き出す
香りの目安 若葉のような爽やかな香り 芳ばしい香り
味わいの目安 コクのある旨味、すっきりした後味 澄みきった味わい
確認した情報 山一園製茶公式商品ページ 農林水産省・丸八製茶場公式情報

表は地域全体のすべての商品を一括りにするものではありません。実際に選ぶときは、個別商品の説明を確認してください。

好みで選ぶなら、緑茶かほうじ茶かを考える

歴史を知ったあとに商品を選ぶなら、普段は緑茶とほうじ茶のどちらが好きかを考えると、候補を絞りやすくなります。

  • 爽やかな香りと緑茶の旨味を楽しみたい方は、山一園製茶の特選棒茶
  • 焙煎した芳ばしい香りを楽しみたい方は、加賀棒茶

詳しい香り・味・水色の比較は、静岡・山一園棒茶と石川・加賀棒茶、どちらを選ぶ?緑茶派・ほうじ茶派で選ぶでご案内しています。

棒茶とほうじ茶の違いを知りたい方はこちら

よくある質問

棒茶と茎茶は違うお茶ですか?

日本茶業中央会の表示基準では「茎茶又は棒茶」とまとめて定義されています。どちらも、仕上げ工程で選別された茎や葉柄などを使うお茶です。ただし、地域や販売元によって呼び方は異なります。

加賀棒茶はほうじ茶ですか?

はい。農林水産省は、加賀棒茶を茎の部分を焙煎してつくるお茶と説明しています。加賀棒茶は、茎を使う棒茶であり、焙煎したほうじ茶でもあります。

静岡の棒茶はすべて緑茶タイプですか?

一括りにはできません。この記事で紹介した緑茶タイプは山一園製茶の特選棒茶です。産地名だけで判断せず、各商品の焙煎の有無と説明をご確認ください。

まとめ

棒茶は茎を使うお茶の総称で、焙煎の有無によって味や香りが大きく変わります。山一園製茶の特選棒茶は緑茶タイプ、加賀棒茶は茎を焙じたほうじ茶タイプです。

歴史や地域名は違いを知る手がかりになりますが、最後は個別商品の仕上げ方を確認するのが確実です。自分に合う一杯を選びたい方は、比較記事で香りや味の違いを確かめてください。

出典